世の為、人の為

私には永遠の課題があります。

それは空手道訓です。

月心会の空手道訓は

1、空手は礼に始まり、礼に終わる

1、空手は己(おのれ)を見つめ己を正し、己を磨くものである

1、空手は人を倒すものではなく、人を愛し己に打克つものである

1、空手は父母を敬いて世の為人の為に尽くすものである

私は空手道訓の順番に非常に意味があると考えます。

まず、1番目は「礼」です。

世の中いろんなところでトラブル、喧嘩が起きています。

ま〜、生きていれば不可抗力的な事故は起きるのは仕方ありません。

しかし、そんな場合でも被害者、加害者ともに

相手を少しだけ思いやる礼儀があったら

大きな問題に発展することは避けられると思うのです。

逆にほんの些細なトラブルでも、礼儀を欠いた対応(お互い)をしたために

取り返しのつかない大問題へと発展してしまうという場合を私は幾度となく見てきました。

調和からはいろいろな素晴らしいものが生み出されますが、

争いからは「無」どころか「マイナス」しか生まれません。

私は何よりも自分の行動、言動には礼儀正しくあるべきで、

マイナスしか生み出さない争いは厳に戒めるべきと考えます。

2番目は「自己研鑽」についてです。

老子は他人の能力や適正を見極め、

かつ他人を思いやることができる人を「智者」と位置づけました。

そして、この「智者」のさらに上にいくものを「明智の人」とよび、

「自分=己」のことをよく解っている人のことを指します。

他人をどうこう分析するより、

常に己を見つめ、慢心、傲慢になりそうな己を正し、

昨日よりは今日、今日よりは明日、つねに己を磨き続けるという姿勢を

武道家であるなら地道に積み重ねるべきと考えます。

3番目は「人を愛し、己に打克つ」についてです。

礼儀も尽くし、日々自己研鑽を重ねることによって、

初めて心に余裕というものが出てきます。

このステージに入れば、

勉強であれば友人と競うというところから、

解らないところがあって悩んでいる友人に、やさしく丁寧に教えることで

実は自分の理解がより深まるということが解るようになります。

仕事においては、競合他社に目を向けてばかりせずに、

相手の身になって真剣に考えることによって、

最終的には自社の利益に反映されるということ分かると思います。

相手を思いやる(愛する)ことこそが、

究極のやりがいのある仕事だと気付くはずです。

「どうやったら自社の利益率をあげられるか?」

なんて姑息な発想がいかに浅はかな考えで、

結局は相手の信頼を無くし、自社の売り上げも上がらないという最悪の結果に陥いってしまいます。

ここで、重要なことを言わせてください!!

この「人を愛し、己に打克つ」は1番目でも2番目でもなく3番目であるということ!!はどういうことか?ということです。

1番目の「礼」をわきまえず

2番目の「自己研鑽」も出来てない者が

3番目の「人を愛し、己に打克つ」真似事はしてはならぬということ!!です。

最後に4番目

本来、わが道場の空手道訓は

「父母を敬いて」のところが「菩薩となりて」という文言でした。

しかし、某宗教の方から我が家は仏教ではないので、

この空手道訓は唱えられない、、、、というクレームが入り

月心会宗家岡田先生は「菩薩となりて」という部分を「父母を敬いて」と直されました。

先生が空手道訓で使用した「菩薩」には宗教的な意味合いを含まず

単に「修行者」という意味合いで使用していただけに、

私個人としては非常に残念な変更と言わざるを得ません。

ま〜、それはいいとしても、今回は順番に意味があると私は考えているので、

変更された文言でも、やはりそれは意味あるものと考える。

世間では、「世の為、人の為」とあちこらこちらで言われている。

確かに悪くはありません!!というか崇高な目標だと思います。

しかし、私はそんな「世の為、人の為」といけしゃ〜しゃ〜と言う前に

まずは「礼節」をわきまえよ!!と言いたいのです。

そして、「礼節」を重んじることができてから

次に「自己研鑽」しなさい!!と。

それが出来るようになって、心に余裕が生まれ

自然と第3ステージの「人を愛し、己に打克つ」ことが可能になってきます。

そして、確固たる己が出来上がったところで、

世の為、人の為になることをする前に、その前のフレーズ

まずは、まずは、まずは、今まで育ててくれた父母に感謝しなさい!!と訴えているのではないでしょうか?

世の為、人の為は父母に心から感謝した後にやること!!と、実に緻密に考えられた順番と私は捉えています。

自分の軸もしっかりしておらず、

しかも生活態度も恥ずかしいような人が

世の為、人の為なんてまずは考えるレベルにない!!と私は思います。

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