鬼手佛心(きっしゅぶっしん)

先日、映画館に行き「Dr.コトー診療所」を見てきました。

主人公のコトー先生を見ていつも頭に浮かぶのは「鬼手佛心」という言葉です。

コトー先生は外科のお医者さんですので、病気や怪我をした人を治す時、患者さんの体にメスを入れ体を開きます。その行為だけを見ると目を逸らしたくなるほど残虐なものです。

しかし、それは患者を治そうという一心で行う治療行為であって、鬼が人間を残酷に殺したり傷つけたりするそれとは真逆であり、慈悲の心が根底にあります。

空手においても慈悲の心を持って優しく接するというのは、とても大切なことだと考えます。しかし、優しく接していればいいかというと、それだけではこちらの真意が相手に伝わらないことがあります。指導者が門下生のことを思い真剣に接する時、あえて鬼となって、門下生の琴線(きんせん)に拳を打ち込まないといけない場合があります。大抵の場合、鬼になる方がダメージが大きいということを残念ながら門下生には解っていただけないですが、、、、。

放っておく方が実はずっと楽ですし、門下生から誤解されるというリスクも避けられます。

しかし、武道の指導者はそこから逃げてはいけないと私は考えます。

指導者が正しいと信念を持って行うのであれば、相手とぶつかり、時にはお互い傷つくということも大切なことだと私は思います。そして指導者である以上、その結果はどういう形になったとしても全責任を負うべきと考えます。

空手は人を傷つける手段ではなく、名医といわれる医者のように修行を積んで積んで積んで「人を生かす、幸せにする術」まで昇華させる、、、それこそが空手を生涯かけて追求していく道だと私は考えます。

ということで大河内道場(イタリアのミラノ道場、イギリスのロンドン道場、ブラジルのサンパウロ道場、日本の名古屋道場)の2023年の銘は「鬼手佛心」とします。

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