「幼児に劇薬!!」!! 365の伝えたい話 第8話

劇薬とは作用が激しく、使い方を誤ると生命にかかわる非常に危険な薬品

私はミラノで空手教室とは別に

幼児向けのトレーニング教室を運営していました。

幼児の心はとても純粋で傷つきやすいので、

幼児と接する時は最大の注意を払わないといけません。

毎週、幼児トレーニングコースでは

トレーニングの前の15分、
「絵本の読み聞かせ」と「私のお話」を隔週ごと交互に行いました。
今回は、ある「私のお話」の回の模様を書きます。
その回は幼児にとっては非常に刺激の強いテーマでしたので、

これなら大丈夫という確信が持てるまで
私は話す内容を何度も何度も精査しました。
以下はその回の「お話」です

「君達の中でウサギが嫌いな人いる?」
子供達みな・・・しーーーん。

「じゃあ、好きな人!!」
子供達みな「好き!!」「かわいい!!」

「そう、みんな好きなんだ、、、


じゃ、最近、君達はこんな虫を見たことある?」

子供達みな「ある!!カメムシ!!」
幼児A「最近、しょっちゅう見る!!」
「じゃあ、この中でこの虫好きな人!!」
子供達みな「きら~~い!!」
「どうしてきらいなの?」

幼児B「くさい!!おしりに穴あいてる!!」
児C「気持ち悪い!!」
「うさぎも近くで匂いかげば臭いし、お尻に穴あるよ」

子供達みな、、、しーん。

「先生も実は苦手なものがあってそれはこれ」

子供達みな「きら~~い!!」

「なぜ嫌いなの?」

幼児D「こいつ噛む!!」
幼児E「にょろにょろして気持ち悪い!」
「そうか、、、じゃあみんなの中でとかげはどう?」
子供達みな「とかげは好き!さわれる!!」
「なぜ、とかげは好きでヘビは嫌いなの?」
子供達みな し~~ん。

「先生はトカゲには足と手がついてるけど、ヘビについてないからそれで苦手だと思うんだよな・・・」
幼児F「手や足がないと気持ち悪い!!」
「じゃあ、君達のママが病気か事故で手が無かったらどう思う?」
幼児C「気持ち悪い!!」
「事故や病気でしかたなくそうなってもCは気持ち悪い?」
幼児C「・・・・・」
「じゃあ、Cが事故で手をなくしたらどうする?」

幼児C「幼稚園でみんなに嫌われたり、いじめられたらり、笑われる・・」
「それはとても悲しいことだね・・・」
幼児C「かなしい、、、」
幼児D「私はかわいそうだからいじめたりわらったりしない!」

「きみたちは、手も足も不自由ないし、見る事も聞く事も問題ない。  でも、世の中には病気や事故で当たり前の事が出来ない人もいるんだよ。
そういう人をみて、いじめたり、からかったり、わらうような人は

先生は好きじゃないな。
体の不自由な人には対しては、君らの友達が誰も近寄らなくても
君達だけはちゃんと友達になってあげてください。

さっきのカメムシだってそう。

友達が踏みつぶしたとF君は言ってたけど、
カメムシはそんなに悪いことをしたのだろうか?
君達はほかの動物より強い。
だからといって意味もなく命を奪うということはとても悪いことだよ。

わかった?
子供みな「わかった!!」
ほっ...


神経をすり減らしながらお話を終えました。

体が不自由な人の話、命の話は幼児にはとっては劇薬です。

大好きなお母さんだって不自由な体だったら

「気持ち悪い」と思ってしまう。
それはこの子が悪いわけではありません。

この繊細な問題に生まれて初めて面と向かって話されたから
正直に思うままに答えたのでしょう。

今回のお話で彼の頭にはしっかり何かが刻まれたと思います。

それから、自分が体が不自由だったら・・
という問いに対してはほとんどの子が
恥ずかしい、いじめられる、笑い者にされる

という考え方を持っていました。

それって、自分じゃなかったらと考えた場合
いじめたり、笑い者にしてしまう危険性を秘めています。

まだ幼児だから話すには早いかな?
と随分悩みましたが、
やはり、感受性が高い分、劇薬の量さえ間違えなければ

確実にいい薬になると思いました。

劇薬は量を間違えるとその子の人生まで変えてしまうので
扱いは本当に本当に慎重にしなければいけません。

そもそも劇薬には触れなければ(避ける)

神経すりへらすこともありません。

しかし、指導者である以上

神経すり減らすレベルで相手に対峙しないと

本気で向き合っているとは言えないと私は思います。

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