「目移りしない力」を、子どものうちに
空手の指導をしていると、子どもたちの「集中力」の違いを強く感じることがあります。
集中して稽古している子は、技を覚えるのも早く、少しずつできることが増えていきます。
しかし、空手の上達だけが問題なのではありません。
私がもっと大切だと考えているのが、**「一つのことに意識を向け続ける力」**です。
例えば、型の稽古をしているとき、道場の外で友達が遊んでいるとします。
集中している子は、自分の稽古に意識を向け続けます。
一方で、友達がサッカーを始めればそちらを見て、誰かが何かをしていれば気になり、気づけば自分のやるべきことから意識が離れてしまう。
私はこれを「目移り」と呼んでいます。
幼い子どもであれば、ある程度は仕方のないことです。
しかし、成長するにつれて、
「今、自分がやるべきことは何なのか」
に意識を戻せるようになることは、とても重要です。
なぜなら、この力は空手のためだけに必要なのではないからです。
勉強でも、仕事でも、人間関係でも同じです。
周りの人が楽しそうに見えたり、他人の生活がうらやましく見えたりすると、自分のやるべきことに集中できなくなることがあります。
もちろん、新しいことに挑戦したり、環境を変えたりすることが悪いわけではありません。
大切なのは、**「今いる場所で、自分にできることを本気でやったのか」**ということだと思います。
一つのことに全力で取り組み、最後までやり切る。
そして、
「やった!」
「できた!」
という達成感を味わう。
この経験を何度も積み重ねることで、少しずつ「目移りしない力」が身についていきます。

空手の基本稽古も同じです。
一見すると単純に見える動作でも、毎回真剣に取り組めば、
集中する → 努力する → できるようになる → 自信になる
という経験を積むことができます。
私は、空手を通して技術だけを身につけてほしいとは思っていません。
集中する力。
自分を律する力。
一つのことをやり抜く力。
そして、自分自身の成長を実感する力。
これらは、子どもたちが将来社会に出たときにも、大きな財産になると考えています。
もしお子さんが、
・すぐに他のことに気が向いてしまう
・一つのことを長く続けるのが苦手
・習い事を始めても、なかなか長続きしない
・「自分には得意なことがない」と感じている
そんな様子があったとしても、最初から「集中力がない子」と決めつける必要はありません。
集中力も、経験によって少しずつ育てていくことができます。
空手の稽古を通して、「一つのことに全力で取り組む」という経験を積んでみませんか?

